不登校中の勉強はどうする?遅れを取り戻す順番と、家でできる方法

公開 2026/11/4/費用・制度は 2026-11-04 時点

子どもが学校に行かなくなると、「勉強はどうしよう」と気になる方は多いと思います。教科書が進んでいくのに、家では手をつけていない。声をかけると嫌な顔をされる。

先に結論を書くと、不登校中の勉強は「休む時期」と「再開する時期」を分けて考えると進めやすくなります。 再開するときは、いまの学年の内容からではなく、分かるところまで戻って始めます。遅れは、あとから取り戻せます。

この記事では、勉強の前に気をつけたいこと、何から始めるか、家でできる方法の違い、自宅での学習が学校の出席扱いになる条件を順に書きます。制度は文部科学省の通知を開いて確かめた内容だけを使っています。

木の階段の一段目に足をかける子ども

不登校中の勉強より先に考えたいこと

学校に行けなくなった直後は、心も体も疲れていることが多いです。朝起きられない、ずっと寝ている、ゲームや動画ばかり見ている。外から見ると怠けているようでも、本人は消耗していることがあります。

この時期に机に向かわせようとしても、たいていうまくいきません。親子の言い合いが増えて、家が休める場所でなくなることもあります。よく言われるのは、まず休んで、エネルギーが戻ってきてから勉強を考えるのがよいとされています。

戻ってきたかどうかは、次のような様子が手がかりになります。

どのくらい休めばよいかは子どもによって違い、決まった期間はありません。眠れない、食べられない、体の不調が続くといった様子があれば、勉強より先に相談してください。

相談できるところ

不登校の子が勉強しない・できない理由

「勉強しなさい」と言っても動かないとき、理由はいくつか考えられます。

疲れていて、頭が働かない。 前の節で書いた状態です。やる気の問題ではありません。

分からないところが積み重なっている。 休んでいた間の単元が抜けていて、教科書を開いても分からない。分からないものを前にすると、誰でも手が止まります。

勉強が学校を思い出させる。 教科書やノートを見ると、つらかった場面がよみがえる子もいます。

どうせ追いつけないと思っている。 遅れの大きさだけが見えて、始める前にあきらめている状態です。

何から手をつければいいか分からない。 やる気はあっても、最初の一歩が決められない。

理由は一つとは限らず、本人も言葉にできないことが多いので、問い詰めるより「どこまでなら分かりそう?」と一緒に確かめるほうが話が進みます。

算数ドリルと鉛筆と砂時計が置かれた子どもの机

不登校の勉強は何から始める?教科ごとの順番

再開のときに大事なのは、いまの学年の内容にこだわらないことです。分かるところまで戻って、そこから積み上げます。「さかのぼり学習」と呼ばれるやり方です。

最初は1日10分や15分で十分です。毎日決まった時間に少しだけ、のほうが続きます。終わったら「できたね」で終わらせて、量を増やすのは本人が乗ってきてからにします。

算数・数学:いちばん戻る教科

算数・数学は前の単元を土台にして進むので、抜けがあると先が分かりません。中学生でも、分数や割合、小数のかけ算・わり算でつまずいているなら、小学校の内容から戻ります。遠回りに見えますが、結局はこれがいちばん早いと思います。

英語:単語と中1の文法から

中学英語は中1の文法(be動詞、一般動詞、疑問文)が分かれば、その先がつながります。単語は1日数個からで構いません。音声つきの教材やアプリなら、声に出して覚えられます。

国語:読書や文章に触れるだけでも

国語は、本や漫画、ニュースを読むことも力になります。漢字は学年をさかのぼってドリルで。書くのが苦手なら、短い日記や好きなことの説明文から始めます。

理科・社会:興味のある単元から

理科と社会は単元ごとの独立性が高く、順番どおりでなくても学べます。歴史が好きなら歴史から、生き物が好きなら生物から。図鑑や動画も入り口になります。

学年ごとの目安

学年 再開のときの考え方
小学生 読み・書き・計算の基礎を優先。生活リズムと「毎日少し」の習慣づくりから
中学生 数学と英語のさかのぼりを優先。高校受験を考えるなら、内申点や受験の仕組みも学校に確かめる
高校生 単位の取得と進級・卒業の条件を学校に確かめる。在籍校で難しければ、転校や高卒認定試験も選択肢

高校生は、全日制で欠席が続くと単位や進級に関わります。条件は学校ごとに違うので、まず担任に確かめてください。通信制高校への転校を考える場合は、通信制高校の学費の記事も参考になると思います。

家での勉強方法を比べる

家で勉強する方法は大きく5つあります。どれがよいかは、子どもの状態と、どのくらい人と関われるかで変わります。

方法 費用の傾向 向いている子 出席扱いとの関係
無料の動画・アプリで独学 無料〜少額 自分のペースで進めたい、人と話すのがまだしんどい 学校が学習状況を把握できる形なら相談の余地あり
通信教材(紙・タブレット) 月額制が多い 毎日少しずつ取り組める 教材によっては学校との連携を案内しているものもある
家庭教師(訪問・オンライン) 比較的高め 一対一なら話せる、つまずきを細かく見てほしい 学校との連携があれば相談の余地あり
塾(個別指導) 教室や回数による 外出できる、決まった時間に通いたい 一般的な塾は対象外のことが多い
オンラインフリースクール 月額制が多い 勉強だけでなく、同年代と関わる場もほしい 施設によっては学校と連携している

費用はサービスごとに大きく違うので、検討するときは公式サイトで最新の料金を確かめてください。「出席扱い」と書いてあるサービスでも、出席扱いにするかどうかを決めるのは在籍校の校長です。申し込む前に学校に相談しておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。

無料で始めるなら

お金をかけずに始めるなら、NHKの教育番組を配信している「NHK for School」のような無料の動画や、教科書会社・自治体が公開している学習ページがあります。学校から1人1台の端末が配られていれば、学校で使っている学習ソフトを家でも使えないか、担任に聞いてみてください。

体験してから決める

有料のサービスは、体験授業や無料期間を設けているところがあります。子ども本人が「これならやれそう」と思えるかどうかがいちばん大事なので、親だけで決めずに一緒に試すのがおすすめです。

家での勉強が出席扱いになる場合

文部科学省は2019年(令和元年)10月25日の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」で、不登校の子が学校の外で学んだ場合の出席の扱いを示しています。対象は**義務教育段階(小学生・中学生)**です。高校生は対象ではありません。

自宅でICT等を使って学習した場合

通知の別記2によると、自宅でパソコンやインターネットなどを使って学習した場合、次の要件を満たすと校長が判断すれば指導要録上の出席扱いにできます。

  1. 保護者と学校の間に、十分な連携・協力関係があること
  2. ICT等を使った学習とは、コンピュータ、インターネット、遠隔教育システムのほか、郵送やFAXなどで提供される学習であること
  3. 訪問などによる対面指導が適切に行われることが前提で、その指導は定期的・継続的なものであること
  4. 子どもの理解の程度に応じた、計画的な学習プログラムであること
  5. 校長が、対面指導や学習の状況を十分に把握していること
  6. 基本的には、学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けられない場合の学習であること

学習の計画と内容が学校の教育課程に照らして適切であれば、その成果を成績の評価に反映することもできるとされています。

出典:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」、同 別記2「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」

学校外の施設に通っている場合

教育支援センターや民間のフリースクールなどに通って相談・指導を受けている場合も、要件を満たせば出席扱いにできます(別記1)。原則は教育委員会などが置く公的な施設で、民間施設は校長が教育委員会と連携して適切かどうかを判断します。(文部科学省 別記1)

学校への相談のしかた

出席扱いは、保護者が申請すれば自動的に認められるものではありません。どんな学習をしているかを学校が把握できることが前提です。

よくある質問

不登校でも勉強は追いつきますか?

追いつけます。学校の勉強は、学年が上がると前の内容を繰り返し使いながら進みます。分からないところまで戻って基礎を固めれば、そのあとは進むのが速くなります。どのくらいの期間で追いつくかは、どこまで戻るか、1日にどれだけ時間を取れるかで変わります。

不登校で勉強しないのは手遅れですか?

手遅れということはありません。小学生でも中学生でも、高校生でも、学び直す道は残っています。高校には通信制や定時制があり、高卒認定試験もあります。休んでいる時期にエネルギーを戻しておくことが、あとの勉強の土台になります。

不登校の子が勉強しない心理は?

疲れていて頭が働かない、分からないところが多すぎる、勉強が学校のつらい記憶と結びついている、どうせ追いつけないと思っている、などが考えられます。本人にもはっきり分からないことが多いので、責めずに「どこまでなら分かりそう?」と聞くところから始めてみてください。

勉強アプリは無料のものでも大丈夫ですか?

始めるきっかけとしては十分です。無料の動画やアプリで「分かった」という感覚を取り戻せれば、それだけで意味があります。続けるうちに、質問できる相手がほしい、計画を立ててほしいと感じたら、有料の教材や家庭教師を検討すればよいと思います。出席扱いを考えるなら、学校が学習の状況を把握できるかどうかも確かめてください。

何時間くらい勉強させればいいですか?

決まった時間はありません。再開した直後は1日10〜15分ほどからで十分です。時間の長さより、毎日少しでも続くことのほうが大事です。本人が物足りなさそうなら少しずつ増やします。

まとめ