通信制高校のデメリットは?「人生終わり」「やめとけ」と言われる理由と、卒業後の進路の数字
お子さんが通信制高校を考え始めたとき、「通信制高校 人生終わり」「やめとけ」といった言葉を検索で見かけて、手が止まった方もいると思います。
先に結論を書きます。通信制高校に行ったから人生が終わる、ということはありません。 卒業すれば全日制と同じ高校卒業資格です。いまは高校生のおよそ10人に1人が通信制に在籍しています。
ただ、通信制高校にデメリットがないわけでもありません。自分のペースで進められるぶん、つまずき方も全日制とは違います。この記事では、通信制高校のデメリットと、それを知ったうえでどう学校を選べばいいかを、文部科学省の資料の数字を使って整理します。

通信制高校の生徒数
文部科学省の資料によると、2026年度(令和8年度)の通信制高校の生徒数は 311,792人で、高校生全体の 9.9% です。全日制は87.8%、定時制は2.3%でした。
また、2025年度(令和7年度)の通信制高校の入学者のうち、中学3年生のときに不登校だった生徒は44,461人、57% です。不登校を経験した子が通信制を選ぶのは、珍しいことではなくなっています。
出典:文部科学省「本検討会議における検討課題及び通信制高等学校に関する基礎資料」(令和8年9月29日、初等中等教育局高等学校振興課)
通信制高校のデメリット7つ
1. 自分で計画して進めないと、単位が取れない
通信制の学習は、レポート(添削課題)を出し、スクーリング(面接指導)に出て、試験を受けて単位を取る流れが基本です。毎日決まった時間に授業があるわけではないので、レポートを後回しにすると、期限前にまとめて抱えることになります。
全日制なら学校が引っぱってくれる部分を、本人と家庭で回すことになります。全日制とのいちばん大きな違いは、ここだと思います。
2. 友達ができにくい
登校日が少ない学校やコースでは、同級生と顔を合わせる機会そのものが少なくなります。人と関わるのがしんどい時期にはそれが助けになりますが、「やっぱり友達がほしい」と思ったときに、自分から動かないと関係が広がりにくい面があります。
3. 学費の幅が大きい
通信制高校そのものの授業料は、就学支援金を使えば多くの家庭でかなり抑えられます。一方で、通学コースやサポート校を足すと、年に数十万円以上かかることもあります。「通信制は安い」とも「高い」とも一言では言えません。金額の目安は「通信制高校の学費はいくら?」にまとめています。
4. 卒業後の進路が決まらないまま卒業する人が多い
後の節で数字を出しますが、通信制課程の卒業者のうち「左記以外の者」(進学も就職もしていない人など)は26.1%で、全日制の4.5%より多くなっています。進路のことを誰かが自動的に考えてくれる環境ではない、ということです。
5. 学校ごとの差が大きい
通信制高校は、公立・私立、本校が1つの県だけを対象にする学校と全国から生徒を集める学校など、つくりがさまざまです。サポートの厚さ、先生と話せる頻度、スクーリングの場所や日数は、学校によってかなり違います。「通信制だから」ではなく「その学校がどうか」で見る必要があります。
6. 行事や部活の機会が少ない
修学旅行や文化祭、部活は、ある学校とない学校、参加が任意の学校があります。全日制の「高校生活」のイメージをそのまま当てはめると、物足りなく感じるかもしれません。
7. 大学受験の準備は自分で足す必要がある
高校卒業に必要な学習と、一般入試で求められる学力にはひらきがあります。一般入試で大学を目指すなら、学校の進学コースや塾・予備校などで、受験向けの勉強を別に用意することが多くなります。
「人生終わり」「やめとけ」と言われる理由
こうした言葉が出てくる理由は、だいたい次の3つです。
- 昔のイメージが残っている:通信制高校が「働きながら学ぶ人」や「ほかに行き場がなかった人」の学校と見られていた時代の印象が、親世代や祖父母世代に残っています
- うまくいかなかった体験談が目立つ:Q&Aサイトや SNS には、「レポートがたまって卒業できなかった」「友達ができなかった」という声が残りやすく、順調に卒業した人はわざわざ書きません
- 卒業後の進路未決定が多いという数字がある:これは事実です。ただ、中身を見ずに「4人に1人がニート」と読むのは言いすぎです(次の節で説明します)
どれも、通信制高校という仕組みそのものが人生を閉ざす、という話ではありません。デメリットが出やすい条件がある、と読むのが近いと思います。
数字で見る通信制高校の卒業後の進路
文部科学省の資料から、2024年度(令和6年度間)に卒業した人の進路を課程別に並べます。
| 卒業後の状況 | 全日制 | 定時制 | 通信制 |
|---|---|---|---|
| 大学等進学者 | 63.4% | 19.0% | 28.6% |
| 専修学校(専門課程)進学者 | 14.7% | 19.8% | 22.9% |
| 就職者 | 13.6% | 40.5% | 19.5% |
| 左記以外の者 | 4.5% | 17.0% | 26.1% |
※専修学校(一般課程)等入学者、公共職業能力開発施設等入学者、不詳・死亡の者は省いています。
通信制では、大学等への進学が28.6%で最も多く、専門学校を合わせると半分ほどが進学しています。
一方で、「左記以外の者」が26.1% あり、全日制・定時制より多いのも確かです。文部科学省の資料でも「進路未決定者等」が多い状況だと書かれています。
ここで気をつけたいのは、「左記以外の者」の中身です。資料の注では「家事手伝いをしている者、外国の学校に入学した者、上記に該当しない者等」とされています。全員が何もしていない、という数字ではありません。
とはいえ、全日制より進路が決まらないまま卒業する人が多いのは事実です。だからこそ、入学する前から「卒業後をどう支えてくれる学校か」を見ておく意味があります。
出典:文部科学省「本検討会議における検討課題及び通信制高等学校に関する基礎資料」内「高等学校(課程別)の卒業後の状況(令和6年度間)」。もとの数字は学校基本調査(e-Stat)

通信制が向いている子・向いていない子
性格で決めつけるものではありませんが、親子で話すときの手がかりとして使ってください。
合いやすい傾向
- 毎日決まった時間に登校するのがしんどいが、勉強そのものは嫌いではない
- 集団より、少人数や一人のほうが落ち着ける
- やりたいこと(仕事・創作・資格・スポーツなど)があり、時間を使いたい
- わからないとき、先生やスタッフに連絡できる(または、その練習をしてみたい)
つまずきやすい傾向
- 締め切りがないと手がつかず、家族が声をかけても動きにくい
- 一人で過ごす時間が長いと、生活リズムが崩れやすい
- 友達や行事のある高校生活を強く望んでいる
つまずきやすい側に当てはまっても、通学日の多いコースや、担任との面談が多い学校を選べば補える場合があります。逆に、合いやすい側でも、サポートの薄い学校だと続かないこともあります。
心身の不調が続いている場合は、学校選びと並行して、かかりつけ医や学校のスクールカウンセラーにも相談してみてください。
通信制高校のデメリットを避ける選び方
資料請求や見学のときに、次のことを聞いておくと、入学後の「こんなはずでは」を減らせます。
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| レポートの進み具合を誰が見てくれるか | 「提出が遅れたとき、学校から連絡はありますか」 |
| スクーリングの場所と日数 | 「本校スクーリングは年に何日、どこで行いますか」 |
| 卒業までの流れ | 「3年で卒業する人はどのくらいいますか。数字はありますか」 |
| 進路の実績 | 「進学・就職の実績は、卒業生全体のうち何人ですか」 |
| 進路の相談 | 「進路の面談は年に何回ありますか」 |
| 授業料以外の費用 | 「通学コースやサポート校の費用は、授業料と別にいくらですか」 |
進学実績は、合格者数だけでなく「卒業生何人のうち」の数かを聞くと、比べやすくなります。延べ人数(一人が複数の大学に合格した数を足したもの)で書かれていることもあります。
見学には、できればお子さんも一緒に行ってください。先生やスタッフと話したときの本人の様子が、パンフレットよりも参考になることが多いです。
よくある質問
通信制高校に行くとニートになりますか?
なりません。卒業者のうち大学等への進学が28.6%、専門学校が22.9%、就職が19.5%です(令和6年度間)。進路が決まらないまま卒業する人が全日制より多いのは事実なので、在学中から進路の相談ができる学校を選び、家庭でも早めに話題にしておくと安心です。
通信制高校は恥ずかしいですか?
高校生のおよそ10人に1人が通信制に在籍しています。卒業すれば、全日制と同じ高校卒業資格です。履歴書にも「高等学校卒業」と書けます。
通信制高校は楽しくないですか?
登校日が少ない学校では、行事や友達づきあいの機会は全日制より少なくなりがちです。ただ、部活や行事、通学コースがある学校もあります。楽しさの感じ方は人によるので、見学や体験授業で本人が確かめるのがいちばんです。
通信制高校の評判が悪いのはなぜですか?
昔のイメージが残っていること、うまくいかなかった体験談が目立ちやすいこと、学校ごとの差が大きいことが主な理由です。評判は「通信制全体」ではなく、検討している学校ごとに見てください。
通信制高校から成功した人はいますか?
「成功」の形は人それぞれですが、通信制から大学や専門学校に進む人は卒業者の半分ほどいます。一般入試で大学を目指すなら、受験勉強を別に用意する必要がある点は覚えておいてください。
通信制高校は将来不利になりますか?
卒業資格としては全日制と同じです。不利になりやすいのは、卒業後の進路を決めないまま3年間が過ぎたときです。学校選びの段階で、進路の支え方を確かめておくことをおすすめします。
数字は2026年11月4日に文部科学省の公表資料で確かめたものです。学校ごとの費用やサポート内容は変わることがあるので、最新の情報は各校にご確認ください。