不登校でも高校に行ける?中学生の高校受験と進学先の選び方
学校に行けない日が続くと、「このままで高校に行けるのか」と心配になる方は多いと思います。先に答えを書くと、不登校でも高校進学はできます。ただ、入り方は進学先によってかなり違います。公立の全日制は内申点(調査書)を使う入試が基本なので、欠席が多いと点数の面で不利になりやすい。一方で、調査書をほとんど使わない選抜や、欠席を考えに入れた申請の制度を用意している都道府県もあります。
この記事では、文部科学省の調査と、東京都・神奈川県の教育委員会が出している入試の資料で確かめた内容だけを使って、高校受験で何が起きるのかを整理します。ほかの道府県については、公式資料を確かめられていないので書いていません。お住まいの地域の入試要項は、中学校の先生と一緒に見てください。

不登校の中学生の数と、高校進学のデータ
文部科学省の調査によると、2024年度(令和6年度)に不登校とされた中学生は 216,266人 でした。前の年度(216,112人)とほとんど変わっていません。小学生と合わせると353,970人で、過去最多だったそうです。中学生1,000人あたりでは67.9人なので、だいたい15人に1人の計算になります。
学年別では中3が80,464人で、いちばん多い学年です。高校受験を前に悩んでいる家庭は、それだけたくさんあるということです。
出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
では、不登校だった子はその後高校に進んでいるのか。文部科学省が、2006年度(平成18年度)に中3で不登校だった生徒を5年後まで追った調査があります。この調査では、高校進学率は85.1%、高校中退率は14.0%でした。1993年度の生徒を追った前回の調査では進学率65.3%、中退率37.9%だったので、進学する子はかなり増えています。
古い調査なので、今の数字はもっと違うかもしれません。それでも、不登校だった子の多くが高校に進んでいることは、このデータからも読み取れます。
出典:文部科学省「不登校に関する実態調査 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版)」
不登校が高校受験に与える影響(内申点と出席日数)
公立高校の一般的な入試では、当日の学力検査の点数と、中学校が書く調査書(いわゆる内申書)の点数を合わせて合否を決めます。不登校で響きやすいのは、この調査書のほうです。
- 授業に出ていない、テストを受けていないと、成績がつかなかったり低くなったりする
- 成績がつかない教科は、調査書で斜線(/)になることがある
出席日数そのものをどう扱うかは、都道府県や学校によって違います。
内申点が低いと、公立の全日制で点数を取りにくくなるのは事実です。ただ、次の節で書くように、調査書の比重が小さい入試や、欠席が多い子のための申請の制度もあります。内申点がないからといって、受けられる高校がなくなるわけではありません。
進学先ごとの入り方の違い
| 進学先 | 主な選考 | 不登校の子から見た特徴 |
|---|---|---|
| 公立の全日制 | 学力検査+調査書(+面接など) | 調査書の比重が大きいと不利になりやすい。配慮の制度があるかは都道府県による |
| 私立の全日制 | 学校ごとに違う(筆記、面接、書類など) | 欠席や内申の扱いは学校によってまったく違う。説明会や個別相談で直接聞くのが早い |
| 公立の定時制・多部制 | 面接や作文が中心のところが多い | 東京都のチャレンジスクールのように、不登校経験のある子を想定した学校もある |
| 通信制(公立・私立) | 書類と面接、作文など | 学力検査がないところが多い。毎日通わなくても単位を取れる |
私立の全日制は、個別相談で「欠席の多い子でも受けられるか」を聞けば、多くの学校がはっきり答えてくれます。遠慮せずに聞いてかまいません。
通信制の費用は、就学支援金を引いたあとで考えると見え方が変わります。詳しくは「通信制高校の学費はいくら?就学支援金を引いたあとの実際の負担」にまとめています。
都道府県の入試の配慮(東京都・神奈川県の例)
都道府県によっては、不登校や長期欠席の子が受けやすいしくみを入試に入れています。ここでは公式資料で確かめた2つを紹介します。
東京都
東京都教育委員会の「令和9年度 東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」には、次のような決まりがあります。
- チャレンジスクール(六本木・大江戸・世田谷泉・稔ヶ丘・桐ヶ丘・小台橋・立川緑の各校と、八王子拓真高校のチャレンジ枠)は、学力検査をせず、志願申告書、面接、作文を合わせて選考します。調査書の点数は使いません
- エンカレッジスクールは学力検査をせず、調査書(観点別の評価)、面接、作文などで選考します
- 全日制の一部の学校では、受検者ごとに「学力検査7:調査書3」と「学力検査10:調査書0」の両方で計算し、高いほうを使うしくみがあります。どの学校が当てはまるかは要綱の別表に載っています
内申点が取れていなくても、当日の試験で勝負できる学校や、面接と作文で選ぶ学校がある、ということです。
出典:東京都教育委員会「令和9年度 東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」
神奈川県
神奈川県には「長期の欠席を理由とする選抜方法の取扱い申請」という制度があります。県教育委員会の資料によると、内容はこうです。
- 申請できるのは、中2または中3(12月まで)に、出席すべき日数の3分の1以上を欠席した人
- 申請すると、その学年の調査書の成績は使わずに選考される
- 申請書は、中学校から調査書と一緒に志願先の高校へ出す。本人と保護者が書く様式と、中学校が書く様式がある
資料には、加点の制度ではないこと、特別な枠を設けるものではないことも書かれています。点数が上乗せされるわけではありません。欠席した学年の成績で不利にならないようにする制度です。申請できるかどうかは、中学校の先生に必ず相談してください、とも書かれていました。
出典:神奈川県「入学者選抜における選考及び長期の欠席を理由とする選考方法の取扱い申請について」(説明資料 PDF)
ほかの道府県にも似た制度がある場合があります。名前は地域ごとに違うので、中学校の先生に「欠席が多い子向けの入試の配慮はありますか」と聞くのがいちばん確実です。

今からできる準備(学年別)
中1・中2
この時期は、受験のことを考える余裕がない家庭も多いと思います。まずは本人が休めていることを優先してかまいません。ただ、神奈川県のように中2の成績が入試に入る地域もあります。進路の話ができそうなときに、住んでいる都道府県の入試で何年生の成績が使われるかだけ、先に調べておくと後で慌てずに済みます。
中3の夏まで
- 高校の説明会や個別相談に、親だけでも行ってみる
- 中学校の先生に、調査書がどう書かれそうか、配慮の申請ができるかを聞く
- 公立だけでなく、私立・定時制・通信制の資料も取り寄せて並べてみる
本人が行けない説明会に親だけで行っても、多くの学校は相談に乗ってくれます。
中3の秋以降
出願先を絞る時期です。願書や申請書は中学校を通して出すものが多いので、学校との連絡は切らさないようにしたいところです。登校していなくても、担任の先生と電話やメールでやりとりできれば手続きは進められます。
よくある質問
不登校でも高校受験はできますか?
できます。中学校に在籍していれば、出席日数が少なくても受験資格はあります。受けやすさは入試の方式によって違うので、調査書の比重が小さい学校や、面接と作文で選ぶ学校も候補に入れてください。
不登校は高校受験に影響しますか?
主に内申点(調査書の成績)に影響します。公立の全日制は調査書を点数にするので、成績がついていないと不利になりやすいです。東京都の一部の学校のように学力検査だけの計算も使う学校や、神奈川県のように欠席した学年の成績を使わずに選考する申請制度もあります。
不登校でも私立高校は受けられますか?
受けられる学校は多いです。ただ、欠席の扱いは学校ごとに違い、一律には言えません。個別相談で「欠席が○日くらいですが受験できますか」と具体的に聞くのが確実です。
不登校だと公立高校には行けないのですか?
行けないわけではありません。公立にも、チャレンジスクールのように不登校の経験がある子を想定した学校や、定時制・通信制があります。全日制でも、都道府県によっては配慮の制度があります。
内申点がないと高校受験に落ちますか?
内申点が低いと、調査書を重く見る入試では合格に必要な点数が上がります。だから落ちるとは限りません。当日の学力検査の比重が大きい学校や、調査書を使わない選抜を選べば、条件は変わります。どの入試なら本人が力を出しやすいかを、先生と一緒に考えてみてください。
統計と制度は、2026年11月4日に文部科学省、東京都教育委員会、神奈川県の公式資料で確かめた内容です。入試の決まりは年度ごとに変わります。受験する年度の要項を必ずご確認ください。